乾麺とお菓子と本

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岩波文庫「史記列伝1」 伯夷・叔斉列伝

今回ご紹介する本は、

岩波文庫から出ている、「史記列伝1」です。

史記自体は、中国の前漢時代に出された古典で、

歴史的価値だけでなく、文学的価値も高い評価を受けています。

大大ベストセラーです。

この本では、史記の中で、列伝の部が書かれております。

この列伝だけで70巻あるそうで、中国の古代から春秋戦国時代に活躍した人物の逸話や活躍が描かれております。

どの人物も魅力的で、そこから得られる学びも多く、日本でも多くの人に読まれております。

個人的には、週刊少年ジャンプのように、ヒーローの活躍が書かれている

エンターテインメントだと思います。

著者は、司馬遷 です。

前漢時代の歴史家で、父親が作りかけていた歴史書を書き上げた人物です。

この方も非常にドラマチックな物語を持っています。

若いころは中国全土を渡り歩き、さまざまな逸話を集めます。

その後、太史令という役職に就くのですが、

時の王である漢の武王に諫言を呈したところ、逆鱗に触れて投獄されてしまいます。

司馬遷は財力もなかったので、賄賂を贈ることもできず、投獄され続けます。

結果的に司馬遷が言ったことが正しかったのですが、

すでに司馬遷は腐刑に処されていました。

腐刑とは、男性ではなくなる という刑です。

この屈辱を受けながらも、司馬遷は生きて史書を書き上げました。

まさしく執念の書といえます。

では早速内容を解説していきます。

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まず最初に描かれているのは、伯夷・叔斉 のお話です。

古代中国・殷代末期の孤竹国の王子の兄弟です。

伯夷 が長男で、叔斉が三男です。

伯 は長男のことで、叔は三男のことを指しています。

ちなみに次男は 仲 です。

二人の父親である王様がなくなる際に、叔斉に後継ぎ指名します。

通常は長男が継ぐのが道理であると思った叔斉は、お兄ちゃんに譲ろうとします。

しかし、親孝行である伯夷は、父親ののぞみをかなえるべく、弟に譲って、黙って国を出ます。

それを知った叔斉は、自分も継ぐことはできないと国を出ます。

残された国民は、次男を王としました。

ふたりは西伯昌(周の文王)のうわさを聞き、周に落ち着きます。

 

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西伯昌がなくなると、後を継いだ武王は、位牌を掲げて殷の紂王を征伐に出かけます。

有名な、殷周革命です。

そのことを知った伯夷と叔斉は、武王を止めに入ります。

「親が亡くなったばかりなのに、すぐに戦争を仕掛けるのは間違っている」

「暴君とはいえ、使えている身なのに攻めるのは間違っている」

武王の側近は二人を殺そうとしますが、

太公望が「二人は正しい人である」と制止しふたりを引き取らせます。

そのまま武王は征伐へと向かいます。

 

周が勝つと、ふたりはあんな奴の下では生きていけない と山にこもり、ぜんまいを食べて暮らします。

が、空腹のあまり死んでしまいます。

司馬遷は言います。

「天(絶対的な存在)は、常に公平であり善人の味方である」というが、二人は善人であるのに、飢え死にした。

天が善人に対する報いとは、いったいどんなことなのか。と。

この思いこそ、司馬遷史記全体のテーマとして訴えたいことです。

 

以上、今日はここまで

ありがとうございました。

 

 

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